グローバルM&Aの事例を学ぶ本として、
新貝康司さんが書かれている【JTのM&A】は非常に良著だと思います。
適切なガバナンスを前提とした任せる経営
JT、日本たばこ産業株式会社は、
クロスボーダーM&Aにて成長をしてきた会社として有名です。
RJRナビスコの海外たばこ事業、イギリスのギャラハー、
ロシアのドンスコイ・タバックのなど大型買収を成功させています。
JTの元代表取締役副社長でギャラハーの買収とPMIを指揮された
新貝康司さんが、JTのM&Aという本を出されています。
当時どのようなことをされてきたのかということを本を読むことで
体感できる良著なので、お勧めです。
グローバルM&Aを行う機会がある会社は限られているでしょうし、
自分自身も関わったことはありませんが、
本著のなかで書かれている
JTの「適切なガバナンスを前提とした任せる経営」は、
経営のフレームワークとして非常に参考になり、国内企業の経営やM&Aにおいても
活かすことができそうという感想を持ちました。
適切なガバナンスを前提とした任せる方法の一つとして、
権限を明確化をする。具体的には、権限規定に親会社が口を出すことと、
海外グループ会社に任せることを明記をする。
そして、その権限を超えて、親会社が口を出すことはないと
新貝さんは書いています。
グループ会社にとってみると親会社から権限の範囲内にも関わらず、
質問や指摘を受けることによって、自分たちの責任を親会社に
押し付けてしまう場合も多々あるかと思います。
そういったことを防ぐために、
権限規定について、買収完了までに
親会社と対象会社間で明確化し、内容について合意をするとしています。
ディール実行までに、責任範囲を明確化し、
ガバナンスの体制を完成させる。かなり難易度が高いことではありますが、
しっかりと実行されている点が勉強になりました。