ビズる

上場ITベンチャーで取締役として働く筆者が、主に経営戦略や事業開発、組織マネジメントなどについて考えを語るブログ

M&A売却価格の考え方

企業や事業売却に関する機会は、そう滅多にたくさんあるわけではなく、

公開されている情報やナレッジも限られています。

だからこそ、M&Aの仲介サービスを運営されている企業さんは、

多くの成功を報酬を得ることができ、高収益となっています。

経験からの考え・意見ではありますが、売却価格の考え方について、書いてみます。

 

 

株式および事業売却までにかかる期間

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会社や事業によって当然、必要な期間は異なると思いますが、

少なくとも半年から一年程度、必要になってくるケースが多いのではないでしょうか。

参考までに、経験をした例を紹介すると、

入札形式の株式譲渡においては、以下のようなスケジュール感でした。

 

  1. 事前検討、準備;1ヶ月間
  2. 仲介会社の選定:1ヶ月間
  3. IM作成、候補先リストの作成、アプローチ:1ヶ月間
  4. アプローチ〜意向表明受領:1ヶ月間
  5. DD:1ヶ月間
  6. 最終条件交渉:1ヶ月間

 

事前検討、準備は、売却価格の検討や、

DDに備え、自社のDDを自分たちで行い、準備を行いました。

プロセスをどのように設計するかで、

スケジュール感も大きく変わってくるかと思います。

 

高い売却価格を望むのであれば、

特定の相手と相対交渉をするのではなく、複数の候補先と並行して交渉を進める。

できれば、入札形式にすることが望ましいでしょう。

 

最低価格の考え方

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最終的には、自分たちが会社や事業をどのように評価するか、

いくらで売却をしたいか。

それに尽きると思いますが、以下のようなことを留意して、

最低売却価格を考えると良いとおもいます。

 

無理に期限を設定しない

期限を決める必要がなければ、希望価格に届かない場合に、

無理に売却をする必要がなく、

ディールブレイクとなった場合でも、別の相手先を探すことができます。

 

また、そのように考えることで、相手方との交渉においても、

強気で交渉をすることが可能です。

 

売却に際し、仲介会社を利用することも多くあると思いますが、

仲介会社はかならず、一定の期間(おおよそ半年程度)を設定し、

その期間のなかで、売却を実行させるように働きかけてきます。

 

交渉ごとですので、必要以上に強く買いたい、

必要以上に強く売りたいと思ったほうが、金銭面の条件では不利となります。

 

良いタイミングで売れれば良いという姿勢で臨むことができれば、

好条件での売却につながります。

 

第3者の意見やマーケットデータを参考にする

契約を結ぶ仲介会社もしくは

FA以外の第3者の意見やマーケットデータを参考に、

価格の目線感を持つことをおすすめします。

 

自社の仲介会社やFAは、できるだけ契約が成立するように、

売主の目線を下げようとします。また、それ以外の仲介会社やFAは、

自分たち取引をすれば、高く売ってきますと主張します。

 

そういったバイアスを加味する必要はありますが、

一定数の評価、意見を聞くことによって、価格の目線感を持つことが可能です。

各種マルチプルなどを用いたマーケットデータもありますので、参考になります。

以下記事もご覧ください。

www.bizuru.com

 

売却プロセスを停止した場合、次回のプロセス再開までに期間をもうけた方が良い

一定規模以上の会社・事業となると、買主候補は限られてくることもあり、

一度、売却可能性に関する情報が業界に流通すると、

一定の企業がノンネーム情報を認知すると考えて間違いないです。

 

売却プロセスの停止は、ネガティブな印象を買主候補が持つ可能性があるため、

新たな好材料がでない限りは、次回のプロセス再開までに期間を設けるほうが、

売却価格の向上につながります。

 

流れで仲介会社の選定基準についても書こうと思ってたのですが、

疲れたので、ここまでとします。。。