取り組んでいる事業にこれまで以上に投資すべきか、現状維持か、もっと利益化していくべきか。非常に悩ましい判断です。SaaS事業でどのように考えたかについて、書いてみます。
事業KPIの評価
とあるSaaS事業のケースでは、
主に①ユニットエコノミクス、②有料転換率、③Churn Rate
の3つで評価をしました。
①ユニットエコノミクス
今更書く必要はないかもしれませんが、
ユニットエコノミクスは、
ユニット単位での経済性を計測、判断するための考え方で、
1顧客あたりの経済性を示す指標です。
ユニットエコノミクス=LTV÷CACという式で算出されます。
LTVやCACについての説明は割愛しますが、
過去にユニットエコノミクスについて書いた記事が
あるので、よろしければご覧ください。
一般的にLTV>3CAC以上であれば、良いという風に言われたりしますが、
そのような状態であれば、長期的には投資した費用は回収できると
判断できるので、会計として許容できるPLのなかで、
成長が大切ということであれば、投資を行います。
②有料転換率
フリーミアムモデルの場合、
最初は、一定の機能を無料で提供し、さらに
高度な機能を使う場合や、一定の期間が経過すると、
料金を課金する仕組みをとります。
無料で使っているIDのうち、
有料IDに転換する率が有料転換率であり、
一般的には、5%を超えると良い水準であると言われています。
③Churn Rate
Churn Rateは解約率のことで、
すべてのユーザーのうち、解釈したユーザーの割合を表す指標です。
月のChurn Rateを使って、顧客がどれぐらいサービスを
利用してもらえるかを計算することができます。
期待継続月数=1÷Churn Rate
どんなビジネスにおいても、
顧客が継続して利用してくれなければ、
経営的にはかなり厳しく、
常に新しい顧客を取り続けなければ、なりません。
なので、この指標はめちゃくちゃ大切な指標だと思います。
SaaS事業のケースでは、
この3つの指標を重視しするようにしました。
事業環境の評価
事業環境については、
主に①導入企業、②競合、③TAM・SAM、④差別化ポイントについて
評価をしました。
①導入企業
今サービスを利用してくれている顧客がいるのであれば、
その顧客と類似の企業が顧客になってくれる可能性は高いと考えられますので、
利用企業がどのような業種で、
類似企業がどれぐらいあるのかということを調べます。
業種については、人の目で判断する必要があり、
官公庁などが使っている定義などを使って、分類していきました。
そのうえで、分類・セグメント別にどういった課題をもち、
当社のサービスがどのような課題を解決しているのかということを
定性的に把握し、肌感として他の企業にも横展開できそうかどうか
ということを考えました。
②競合
自社サービスの脅威なる企業と
マーケティング、特にWebマーケティング上の競合について調査しました。
調査した主な項目は、社数、ユーザー吸う、ターゲット業種、価格、年間売上、サービスの特徴などです。
③TAM・SAM
TAMとは、Total Addressable Market の略で、
獲得可能な最大市場規模です。
その市場規模が自社のサービスでカバーできるわけではなく、
実際に獲得可能な市場規模を図る指標としては、
SAM(Serviceable Addressable Market )
という指標で試算します。
すごく雑かもしれませんが、
TAMは、将来の成長可能性という観点で、
そもそも市場が大きいのかどうか。
SAMは、今の顧客層をベースに、実際にどれぐらいの顧客を
獲得できるのかというような点を推測するという形で、
TAMとSAMを考えました。
SAMの具体的な試算方法としては、
業種別の対象市場の企業数と1社あたり年間平均売上の数値を用いて算出しています。
そのうえで、プロダクトの親和性評価と顧客の獲得難易度評価をかけ合わせて、
顧客獲得の優先順位を設計する感じです。
④競合との差別化
競合との差別化については、プロダクトの機能を定性的に評価。
他社の戦略方針をプロダクトから推察し、
差別化ができているかどうかを確認します。
最終的な意思決定
色々分析や、検証をしても、
答えが見えたうえで意思決定できることは、ほとんどなく、
また周囲はできない理由やみえていないものを意思決定することに対して、
基本反対するものだと思います。
個人的に、それは当たり前のこととしてとらえ、
感情的に色々反応するというよりは、まずは意思決定をし、
あとはその判断が正しかったと思えるように頑張る
という風にしています。できないことの評価、検証は簡単だけど、
できることの評価、検証は難しい。というか、それが簡単なら
たくさんの人がやっている。そう思うからです。
以上、事業の投資判断について、書いてみました。