ビズる

上場ITベンチャーで取締役として働く筆者が、主に経営戦略や事業開発、組織マネジメントなどについて考えを語るブログ

EV/EBITDA倍率は、意思決定にどこまで活用できるのか

買収価格が、

EBITDAの何年分でまかなえるかを表す指標に、

EV/EBITDA 倍率というものがあり、

企業買収の際に、買収価格が割高なのか、

割安なのかを判断する目安になったりします。

「その案件ってEBITDA倍率で何倍?」といった風な使い方です。

 

EV(事業価値)及びEBITDAとは

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EVとはEnterprise Value の略で、

EV=株主時価総額+ネット・デット(純有利子負債)という式で算出されます。

ネット・デッドは有利子負債から、

非事業資産価値を引いたものであり、

非事業資産価値とは、事業と直接関連しない資産のことをいいます。

 

EBITDAとは、

Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization

の頭文字をとったもので、財務分析上の概念の一つです。

EBITDA=税引前利益+特別損益+支払い利息+減価償却費

という風な式で算出します。

 

M&Aを積極的に行っている上場企業は、

買収価格と、買収対象企業の純資産額の差額を

のれん代として、定期償却をする必要があるため、

IR上、EBITDAを使用をして、

株主と対話をしているケースが多いかと思います。

 

EV/EBITDA倍率

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M&Aを行う際、

バイサイドは、高値づかみを避けるため、

また価格の妥当性を分析するために、

EV/EBITDA倍率というマルチプルを利用することがあります。

 

この倍率は、どれぐらいの数字が適切なのでしょうか。

公開されているものとしては、

KPMGさんが、定点観測データとして、

業種別の倍率推移データを公開されているので、

参考になるかと思います。

https://home.kpmg/jp/ja/home/insights/2018/05/market-check.html

事業自体の成長性が高いと見立てられれば、

高い倍率でも買収をするという意思決定になり得るので、

要は、事業計画をどのように考えるか

ではありますが。

 

計画へのコミット

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つまり、大事なのは、

 

トップラインや

フリーキャッシュ・フローの成長率、成長額を

買収後に事業に携わる人と握れるかどうか。  

 

買収に関わった人が、PMI後も責任者として

その会社を率いるのであれば、

その人自身がその計画をコミットでできるかどうか

                                  

対象会社の人材が買収後も残り、

経営をするのであれば、

残る経営陣と、計画を握れるかどうか。

 

だと考えます。

 

繰り返しになりますが、

どこまで事業計画にコミットできるかどうかが一番重要で、

その意思決定の内容を他社の買収事例(マルチプル)と、

比較して、自分たちの意思決定がどのようなものなのかを

確かめるという使い方でしょうか。

 

この辺は、今後も色々と勉強していきたいです。