ビズる

上場ITベンチャーで取締役として働く筆者が、主に経営戦略や事業開発、組織マネジメントなどについて考えを語るブログ

セールス型事業におけるユニットエコノミクス

採用やユーザー獲得のための広告費用など、

事業運営において、売上を上げていくためには、

様々な投資が必要になりますが、

その判断は常に悩ましい問題でもあるかと思います。

 

その一つの判断基準として、投資を先行させ、

時間をかけて将来に投資を回収していくSaaSのビジネスモデルでは、

「ユニットエコノミクス」という健全性指標が良く使われています。

この指標は、セールス型事業においても、

一定機能するのではないでしょうか。

 

ユニットエコノミクスとは

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ユニットエコノミクスとは、

1顧客あたりの経済性を示す指標で、

ユニットエコノミクス=LTV(顧客生涯価値)÷CAC(顧客獲得コスト)

の式で算出します。

 

一般的にLTVがCACの3倍以上であれば、

投資をしたほうが良いと言われますが、

その判断基準は事業特性や会計PLにおける利益

もしくは損失をどれぐらい許容できるかなどによって、

変わってくるかと思います。

 

LTV、CACについてですが、

LTVは、Life Time Valueの略で、1顧客が生涯どれぐらいの収益をもたらしてくれるかという指標。

CACは、Customer Acquisition Cost の略で、1顧客あたりの獲得にかかるコストのことをいいます。

 

セールス型事業におけるユニットエコノミクスの算出方法

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担当をしている事業の例を紹介します。

まず、コストを事業を維持させるためにかかる維持コストと

成長をさせるためにかける成長コストに分解します。

 

維持コストの定義は、事業の売上は落とすわけにはいかず、

投資はしなくても、売上は、最低限維持はしないといけないので、

売上をキープしながら、

事業を継続させるにあたりかかるコストを維持コストと定義しています。

 

Webサービスを運営するためにかかるサーバーコストや

保守にかかるエンジニアコストなどは、

維持コストとして、分類しています。

 

成長コストの定義は、事業を成長させるためにかかるコストで、

新規顧客を獲得するための、

Webマーケティングコストや、営業人員のコストも、

成長コストとして、定義しています。

 

管理会計上の費用分類で考えると、

人件費は、固定費であり、ユニットエコノミクスをキープしていくために、

費用をコントロールしていくということはできませんが、

投資判断をするときに、

この場合でいくと、採用や該当事業に異動をさせる判断をする際に、

その投資をどのように回収していくかということは、

考慮をしていきたいので、

営業人員のコストは、成長コストとして分類し、

その投資が売上増につながる確度が低いのであれば、

正社員採用ではなく、外注等で考えるようにしています。

 

CAC増加に伴い、増えていく関連コストをどのように考えるか

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CACコストの増加に伴い、

増やしていかないといけないコストがあることがあります。

たとえば、企業と一般消費者をつなぎ、

そのトラフィックの何割かを手数料として受け取っているような事業の場合、

企業の数を増やすためには、一般消費者の数も増やしていく必要があり、

企業の獲得コストを増加させると、

一般消費者の獲得コストも増加させる必要があるというようなケースです。

 

そのようなケースにおいて、

例えば、企業数の増加を考える場合、

一般消費者の獲得コストは、企業の獲得コストの増加に伴い、

一定割合で増えていくもの

(もしくは、なんらかのロジックで増えていく)として、

獲得コストに合算し、合算したCACとLTVを比較して、

経済性があっているかどかを検証するようにしています。