ビズる

上場ITベンチャーで取締役として働く筆者が、主に経営戦略や事業開発、組織マネジメントなどについて考えを語るブログ

分解されたKPIに基づく組織設計

事業のKGIを因数分解し、

因数分解されたKPIを伸ばしていくことでKGIを成長させる。

 

おおよそこんな感じで、

多く事業がKPIの設計と改善を行なっているんだろうと想像しています。

そのなかで、KPIの性質によって、

おいかけるKPIと組織を分けるということが大事だ

という学びが過去、あったので、書いてみます。

 

担当した新規事業におけるKPI設計

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過去、自分が新規事業として立ち上げを行った事業で

追っていたKPIを紹介すると

(実際使用していたものとは異なり簡素化しています)、

 

1.売上=ユーザー数✕ユーザー単価

2.ユーザー数=新規ユーザー数+継続ユーザー数

3.新規ユーザー数=新規会員数×アクティブ化率

4.継続ユーザー数=前月ユーザー数✕翌月継続率

5.新規会員数=投下コスト÷CPA(チャネル別)

 

といったものを設定していました。

この事業は企業と個人をサービス上で結びつけ、

そこで成立した金額の何割かをいただくようなビジネスモデルです。

 

複数のKPIを追いかけると複雑で成果を出しにくい

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事業を開始した当初は人数も少なく、

全部の指標を全員で改善するというやり方をとっていました。

 

事業の立ち上げ当初は、

各指標を改善させるために設定する課題の難易度は容易である一方、

数字自体は大きく改善されることが、

一般的では、ないでしょうか。

 

当時担当していた事業もそのような状況で、

複数のKPIを全員で追いかける形を取っていました。

ただそうしていると、次第にどの指標も外し続け、

改善のために設定した施策もやりきれずに、

終わることが増えてきました。

 

これは2つ要因があって、

1つは複数のKPIを追いかけたこと。

 

これは多くの指標を追いかけることは難しく、

追いかける指標を絞らなければいけなかったのだと解釈しています。

 

2つ目は、性質の異なる指標を追いかけたことです。

1人の人間、もしくは一つのチームが性質の異なる指標を

追いかけることは複雑で、経験則的には、

失敗することがほとんどだと思います。

この事業の場合においても、そういった状況に陥っていました。

 

 

KPIの性質によって組織を分けて、同種かつ少数のKPIを追いかけるようにする

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そこで

2.ユーザー数=新規ユーザー数+継続ユーザー数

の新規のユーザー数と継続ユーザー数を追う組織別々の組織に分解。

 

新規のユーザー数を追いかける組織は、

3.新規ユーザー数=新規会員数×アクティブ化率

という計算式のなかで、

主にアクティブ化率という数字をおいかける形に組織設計。

 

継続ユーザー数をおいかける組織は、

4.継続ユーザー数=前月ユーザー数✕翌月継続率

 という計算式のなかで、

主に翌月継続率をおいかける形にしました。

 

加えて、

新規ユーザーのWebマーケと既存ユーザーの掘り起こしを行う機能は

別の組織として設けるということを行い、

 

5.新規会員数=投下コスト÷CPA(チャネル別) 

という指標を追いかけるようにしています。

 

メリット・デメリット

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当該事業をこの組織体制に変更することで、

得られらたメリットは、

各組織が追いかける指標が絞られ、

ある意味その指標から逃げられない環境になり、

改善と向き合い続けられるようになったということです。

 

KGI自体も成長を続けており、

立ち上げ4年で二桁億円の事業になってきています。

 

デメリットは、

KGIを分解したKPIを複数のチームで分けて担当しているため、

自チームの業績が他チームの成果によって、

影響をうけるかたちになり、

 

成果がでていないときに、

他チームに原因を求めることができるというところでしょうか。

この辺は、チームをまたいだマネジメントが

必要になってくることになるかと思います。