前職リクルート時代は、
大企業向けのセールスにマトリックス営業という手法を使っていました。
マトリックス営業という言葉自体は一般的にはあまり使われてはいませんが、
その概念自体は、法人セールスとしては原理原則的なものだと思います。
法人は、ピラミッド組織で階層型
法人は、
ほとんどの組織がピラミッド型になっていて、
階層型になっています。
そして、階層ごとに役職が分かれ、
役職によって決裁権の範囲や金額が
異なっている組織がほとんどかと感じます。
ここで考えないといけないのは、
物事を実際に検討、推進をする人と
その決裁を行う人がイコールではないことが多いということです。
経験上、
実際に物事を進める担当者に決裁権があることはほとんどなく、
その上長や上長が出席する会議体で決まる組織が多いのでは、
ないでしょうか。
これが個人向けセールスと
法人向けセールスが異なる
と言われる理由の一だと考えます。
一度下の階層と会うと中々飛び越せない
下の階層というと少し言い方が悪いですが、
決裁権がない実務担当者とのやりとりが開始されると、
なかなか上位の方に、会うことはできません。
理由なく、その担当者の方を飛ばして決裁者に会おうとすると
担当者は嫌な気分になり、
結果担当者との関係性が悪化することにつながったり、
クライアント側も、
担当者に行なっている業務を決裁者が巻き取ることになると
組織構造が歪むことになったり、
担当者の仕事を奪ってしまうことになります。
セールスの経験者であれば、決裁者に会おうとして、
「担当者に任せていますから」
と断られたことは、必ずあるのではないでしょうか。
決裁者に会う必要があるかどうか
法人セールスは、決裁者に会う必要があるのかどうか
これは、意見が分かれるところだとはおもいますが、
自分は、絶対に決裁者やより上位者にセールスを行う方が、
受注確度が高いと考えます。
こちらが誰かと言うことよりも、
そして何を話すかということよりも、
誰に話すかということの方が重要だと考えるからです。
決済者に会う方法①担当者の決済権限を超えたテーマを議題にする
普段やり取りをしている担当者の決済権限を超えたテーマで、
MTGを設定し、
その議題について、何らかの意見や決済をいただくかたちで、
決済者に出席をいただくというやり方です。
例えば、マーケティング・チャネルを担当をしていて、
通常は顧客の担当者に対して、
自社サービスの提案を行っている場合があるとすると、
他のチャネルも含めた提案や
集客の課題をヒアリングをさせてほしい
といったような形でアポイントを獲得し、
担当者の上長にご出席をお願いするといったかたちです。
継続的にその決済者に会い続けるには、
会うメリットを感じて頂く必要があるため、
決済者のミッションに応じて、自社が提供できる情報や、
ソリューションを準備したうえで、
MTGに臨む必要があるかと思います。
決済者に会う方法②会食を活用する
会食、接待も強力なツールの一つです。
会社間で、リレーションを強めていきたいという趣旨で場を設定すれば、
断られることはないのではないでしょうか。
その会食のなかで、話題になったテーマを元に、
日中のアポイントを獲得することができれば、
更なるリレーション強化に繋がります。
決済者に会う方法③担当者がいないタイミングで訪問するor連絡をする
番外編として、一度名刺交換をしているなど、
面識がある場合でないと、難しいかもしれませんが、
担当者がいないタイミングで、
訪問もしくは連絡をするというやり方もあるかと思います。
外部から連絡がかかってきて担当者がいない場合、
その上長につなげるということは、良くある対応かと思います。
あんまりやりすぎると担当者とやりとりをして
という話になってしまうと思いますが、
コミュニケーションを深める手法の一つとしては、
あり得るのではないでしょうか。
マトリックス営業、マトリックスセールス
マトリックス営業、マトリックスセールスとは、
いわゆるマトリクス図、
つまり、行と列で表現された表のように、
組織と組織でセールスをおこなっていく手法のことです。
あまり一般的ではないかもしれませんが、
リクルートでは、マトリクスセールスという言葉をよく使用していました。
具体的にどのようなことをやっていくかというと、
顧客の組織を役職や役割で整理し、
自社の同階層がリレーションを図っていけるように、
また、階層をクロスした形でも、
リレーションを図れるようにしていくセールス手法です。
それぞれの担当者個人の情報や、
どういった提案やコミュニケーションを行ったかなどは、
細かく情報として、残していき、
セールス個人と顧客がリレーションを図るのではなく、
組織間でリレーションを強化していくということに主眼を置いています。
マトリックスセールスを通じて、
顧客のどの階層の担当者がどのような決裁権をもっていて、
顧客の組織のなかで、
どのような意思決定プロセスがあるのかということを知り、
そのプロセスに応じた提案を行っていく。
大企業向けセールスにおいては、
そのようなことを重視して、営業を行っていました。